節分に

今年は南南東。
今日は節分だ。
恵方と言われる方角に向かって、巻き寿司を1本食べ切らなくてはならない日でもある。
子供の頃、毎年この日が嫌でたまらなかった。
そもそも、甘く煮た椎茸、かんぴょう、高野豆腐・・・なんて子供が好くはずがない。子供はね、もっとサーモンにマヨネーズがついた巻き寿司の方がいいのですよ。(当時はそんなものはなかったけどね)それに、1本まるごとって、子供にとっちゃ多すぎませんか?時代が時代ならちょっとした虐待かもね。
「せめて、半分にしてよ〜」などと言おうものなら、祖母から「黙って1本たべなさい!」と叱られたものだ。
でも、ちょっと想像してみて。
親子4人と、祖父母2人の家族6人が同じ方角を向いて、だまってただひたすらもぐもぐ、巻き寿司を食べるというこの光景。
オカルトでしかないわ。
そんな子供時代を送った私だけど、10年前に暮らしていた横浜で「恵方巻き」を見かけた時は、「いよいよ関東進出か」となぜか嬉しく感じたのを思いだす。
いまでは豆まきより、恵方巻きらしい。
きっと、毎年変わる方角に向かって、黙って1本たべきるという儀式的な行為がウケたにちがいない。
異文化が伝わって、そこに定着するには、何かものめずらしさ、驚き、そしてよくわからない儀式的なものがエッセンスとして必要なのだと思う。
そんなわけで西の文化が東につたわったのだけれど。
先日、アロマスクールの講師の依頼をいただいた。
この春からスタートするスクール用のレジュメを作っていて、今日はちょうどアロマの歴史部分にとりかかっている。
ちょうど十字軍遠征の箇所。
アロマセラピストならお馴染みの歴史事項なんだけど、よくあるのが
「この十字軍の派遣によってヨーロッパとアラビア諸国の東西文化交流が盛んになって、水蒸気蒸留法が西側に伝わりました」ってフレーズ。
まあ、歴史のテキスト作りは結構簡単で、史実(とされているもの)を時系列にまとめればいいだけの話。でもこのままだと「ふ〜ん。」で終わっちゃう。そのせいか、レッスンを受けている方は退屈でしかない。
「何年に、誰が、どこで、何をした」
という試験対策だけの暗記事項となってしまうのだからね。事実、わたしもそうだったし。
でもね、ぶつ切りの出来事と出来事を想像力を働かせて、ストーリー立ててみると、現在のアロマセラピーの文化がなぜ世界に伝播し、なぜ発展したか。そしてアロマの将来までも見えてきそうで、結構おもしろいものなんだけどな。レッスンでは、そんな歴史の行間部分も合わせてお話している。
そのためには、アロマだけではない、多角的なものの見方を必要とするので、講義の台本作りには多くの時間と書籍代を割いている(笑)
せっかく大切な時間とお金を費やして、レッスンを受けに来てくれるんだもの。
「伝わる」レッスンにするために、わたしも大切なものを費やして、受講者の方と向き合いたい。